名前を見てちょうだい3
2022年6月23日 10時35分牛も、きつねもいってしまいました。けれどもえっちゃんはかえりませんでした。むねをはって大男をきりりと見上げて言いました。
「あたしはかえらないわ。だって、あたしのぼうしだもん。」
すると、えっちゃんの体から湯気がもうもうと出てきました。そしてぐわあんと大きくなりました。
「たべるならたべなさい。あたし、おこっているから、あついわよ。」えっちゃんは、たたみのような手のひらをまっすぐのばして言いました。
「あたしの ぼうしを かえしなさい」
大男は、ぶるっとみぶるいをしました。しぼんで、しぼんで、しぼんで・・・
「あっ、あたしのぼうし。」ひろって、名前を見ました。う、め、だ、え、つ、こ。「ああ、よかった。」
ぼうしを頭にのせると、あらら、えっちゃんは元の大きさになっていました。
おしまい。