幼稚園ブログ

2020年5月の記事一覧

「まなざし」が子どもたちの心を育てます

 朝の登園の時間です。元気よく「おはようございます。」と言って入ってくる子もいますし、小さな声の子もいます。一人で幼稚園に入るのが少し不安そうな子もいます。子どもたちは一人一人みんな違いますし、子どもたちには子どもたちなりの事情がありますから、みんな違って当然です。

 この子どもたちが登園して来る朝の時間は、幼稚園にとって、とても大事な時間です。そして素晴らしい時間でもあります。

 子どもたちが登園してくると、先生方は玄関に出て、一人一人に声をかけます。

「おはようございます。」「寒くなかった?」

「久しぶりだね、元気だった?」

先生方は身をかがめて、あるいは床に膝をついて一人ひとりの顔を見ながら話しかけます。また子どもたちが自分ひとりでシューズを履くのを、手を貸すのではなく、ずっとそばに寄り添って見守ってあげている先生もいます。

そういうかかわりがあって、子どもたちは安心しておうちの人から離れて、自分の保育室へ向かいます。友達との世界へ、勇気をもって踏み出していきます。

日々のそういう当たり前のことの繰り返しの中で、子どもたちは学んでいきます。少しずつ成長していきます。

 子どもたち一人一人の可能性を信じる大人の優しい「まなざし」と語りかけによって、子どもたちは心豊かに育っていきます。赤ちゃんの研究をしている先生が、そういう意味のことを書いていました。(下條信輔1988『まなざしの誕生』新曜社)

 来週からは、毎日、子どもたちが登園してきます。本当にうれしく思います。(文責 園長 佐藤一男)

 

ザリガニとジャンケン

 臨時休園が続いていている中、12日(火)は久しぶりの登園日なので、ザリガニがいたら子どもたちも喜ぶかなと思って、ザリガニを釣ってきて、幼稚園の玄関に置いてみました。

でも、ハサミを持ち上げるザリガニを見て女の子たちは

「キャー!」「こわーい!」

と大騒ぎです。

それを見ていた先生が、

「ザリガニとジャンケンしてごらん。絶対、勝てるから・・・・」と声をかけてくれました。

何のことかよくわからず、女の子がポカンとしていると

「ザリガニは、チョキしか出さないから」と先生がまた教えてくれました。

(ああー、そうか、ザリガニはハサミしか出せないんだな・・・・・・。)

そうしたら、子どもたちは、よろこんで「ジャンケン ポン」とザリガニとジャンケンを始めました。

「やったー。勝った!」

そうして、ザリガニを怖がっていた子どもたちは、いつの間にかザリガニと仲良しになっていました。

 教育は「その場の一瞬の出来事に、どう対応できるか」「どんな応答ができるか」にかかっていると言われます。子どもたちをよく理解しているから、とっさにそういう対応ができるのだろうと思います。

 まだいろいろ制限された状況の中にありますが、だからこそ身近にある生き物や植物とのかかわりを大事にした保育を進めていきたいと考えています。(文責 園長 佐藤一男)

 

 

 

 

 

ジャガイモを植えました

 先週の14日(木)は、5歳児のひまわり組の子どもたちの登園日でした。21名が元気に登園してきました。その日、ひまわり組の子どもたちは、ジャガイモを植えることになっていました。

 その日はとてもさわやかな良い天気で、畑の活動には最高の日です。9時過ぎ、子どもたちが、園庭の隅にある畑に集合しました。畑の畝(うね)には黒いビニルのシートがかけてあります。そこにシャベルで穴をあけ、土を少し掘って、ジャガイモを植えます。

 もうジャガイモを植える時期は過ぎていて、タネのジャガイモからはたくさんの芽が伸びてしまっています。ちゃんと育って、ジャガイモが収穫できるか心配ですが、このような状況ですから、仕方がありません。

 芽が下を向いたまま植える子もいますし、タネのジャガイモが半分も外に出たまま植えている子もいたりで大変でしたが、子どもたちは大喜びでジャガイモ植えは無事完了しました。

 子どもたちは、3週間ぶりの登園です。先生方は「何をしてあげよう・・・」「何ができるかな・・・」と何日も前から考えました。そして「ジャガイモを植えよう」と決め、準備をしてきました。

 短い時間でしたが、子どもたちみんなで「共通の体験」ができたことには大きな意味があると思います。ジャガイモを植えるという同じ体験を、みんなが「共有」していることで、子どもたちの心は「つながって」いきます。相手の気持ちもわかるようになっていきます。そしてまた少し仲良く、そして優しい子になっていきます。

 先生方は、経験的にそういうことをわかっているのです。外から見れば、ただの「ジャガイモ植え」と見えるかもしれませんが、その中には先生方の子どもたちへの思いと経験による知恵が込められています。短い時間でしたがよい保育ができたと思っています。(文責 園長 佐藤一男)

 

「ダンゴムシ ころんでたよ!」

 5月12日(火)は、年少のちゅうりっぷ組の子どもたちの登園日でした。22名が登園してきました。そして、今日14日(木)は、年長のひまわり組の子どもたちの登園日でした。年長のひまわり組も21名登園しました。

 子どもたちの明るく元気な声が園舎や園庭にもどりました。やはり、子どもたちがいてこその「幼稚園」なのだと心から思いました。

 12日の年少組の子どもたちの登園日は、とても良い天気で、子どもたちは園庭に出て、思う存分に遊び、活動することができました。ジャングルジムに登ったり、ブランコに乗ったりして、さわやかな風を体全体で感じていました。

 4月に入園した4歳の子どもたちにとっては、園庭はまだまだ未知の世界です。園庭でダンゴムシを探していた男の子が3人、プラスチックの飼育箱をかかえて、玄関にかけこんできました。

「ねえ、ねえ、ダンゴムシ ころんでたよ!」

(えっ? ダンゴムシが ころんだ・・・・・・。なんだろう?)

わたしは、よく意味がわからず、「それは すごいねー。」というのが精一杯でした。

 ダンゴムシは、植木鉢などをどかしてみると、すぐにつかまえることができます。つかまえると、手のひらの中で、くるくるっと丸まってしまいます。子どもたちはダンゴムシが大好きです。ダンゴムシをつかまえようとしたら、そのダンゴムシがコロコッと丸まった。それを、その子は「ダンゴムシ ころんでたよ」と言ったのかもしれません。いろいろ考えてみるのですが、本当のところはわかりません。でも、子どもはおもしろい表現をするものだなと、うれしくなってしまいます。本当に明るい気持ちになってきます。

 わたしたち大人は、子どもたちの健やかな成長を願い一生懸命に世話をして、育てます。でも実は、力をもらっているのは、わたしたち大人の方なのかもしれません。子どもには、そういうふうに周りを元気にする力があるのだと思います。

 久しぶりの登園日にそんなことを考えました。子どもたちは素敵です。(文責 園長 佐藤一男)

 

   

登園日、とても楽しみです

 明日12日(火)は、年少のちゅうりっぷ組の子どもたちの登園日です。そして、14日(木)は、年長のひまわり組の子どもたちの登園日です。本当に楽しみです。

 先生方は、テーブルやイスの消毒をしたり、園庭の畑にジャガイモを植える準備をしたりして、待っています。ひらがなのおけいこのシートなども配布できるように用意してくれています。子どもたちが楽しく踊れる曲も選んだりして、準備は万端です。絵本の貸し出しの準備もできました。池で釣ったザリガニもいます。

 休園が延長され、我慢の時期が続きますが、そういうなかにも、何かできることを見つけたり、楽しいことを考えたりできればいいなと思っています。

 以前に紹介した『クマのプーさん』(A.Aミルン作)の終わりのところに、プーさんとコブタさんのこんな会話があります。

 森のなかでおこなわれたパーティーからの帰り道、コブタとプーは、夕方の金色に輝く光のなかを、並んで歩いています。二人は長いこと何にも言いませんでした。でも、とうとうコブタが言いました。

「プー、きみ、朝おきたときね、まず第一に、どんなこと、かんがえる?」

「けさのごはんは、なににしよ?ってことだな。」と、プーは言います。

「コブタ、きみは、どんなこと?」

するとコブタは、こう答えます。

「ぼくはね、きょうは、どんなすばらしいことがあるかな、ってことだよ。」

プーさんの答えは、ハチミツが大好きなプーさんらしくていいですね。そして、未来を信じるコブタさんも素敵です。目の前が開けたような明るい気持ちになって、元気が出ます。

 今週の登園日、久しぶりに、園庭や遊戯室に子どもたちの歓声がもどってきます。今から楽しみで仕方がありません。 (文責 園長 佐藤一男)

図鑑の中に広がる驚きの世界

 みなさん こんにちは。昨日、本や絵本が、子どもたちの世界を広げてくれることを書きました。他にも子どもたちの知的好奇心を育ててくれるものが、身近なところにあります。

それは図鑑です。

 私は昭和の生まれですので、小学校のころ、休みだからと、どこかに連れていってもらうようなことはあまりありませんでした。家と学校の周りの野山や田んぼや畑、小川などが自分の知っている世界でした。おもちゃなども今のようにはありませんでしたが、どういうわけか学研のポケット図鑑を買ってもらって、繰り返し見ていたことは覚えています。宇宙の図鑑や昆虫の図鑑、そして魚の図鑑などがありました。手のひらにおさまるくらいの小さな図鑑でしたが、そこには宇宙の果てのアンドロメダ星雲やブラックホールなど驚きの世界が広がっていました。フナやザリガニの飼い方などもかいてあり、毎日見ていた記憶があります。小さな図鑑が知らない世界を教えてくれました。

 図鑑は、字が読めるようになってからと考えるかもしれませんが、そうではなく、早ければ早いほどよいのだそうです。東北大学の瀧靖之先生が『こんなカンタンなことで子どもの可能性はグングン伸びる!』(2019.ソレイユ出版)という本に書いています。人間の脳は3,4歳くらいから少しずつ「好き・嫌い」を判断するようになり、自分が「嫌い」と思ったり、「これは楽しくないな」と感じたりしたものに対しては、興味関心はわいてこないのだそうです。ですから「好き・嫌い」が出てくる前に、赤ちゃんのうちから図鑑を見せてあげるのがよいのだそうです。

 この休みに、お子さんと一緒に図鑑を開いてみるのもよいのではないかと思っています。(文責 園長 佐藤一男)