飯野中学校日誌

2021年3月の記事一覧

卒業・進級へのメッセージ

 本校文芸部員が、階段の黒板に、季節に応じたメッセージや黒板アートを作成してくれています。

 今回は、卒業・進級に向けた応援メッセージで、自分を信じて踏み出そうという思いが伝わってきます。

 明日は修了式、新しい1年の第一歩を踏み出すために、今日・明日の2日間をしっかりと締めくくり、4月からのエネルギーを充てんできる学年末・始の休業日にしてください。

厳粛で感動あふれる卒業式をありがとう!

 3月12日(金)10時から、令和2年度第64回卒業証書授与式が挙行されました。

 令和2年度の本校卒業生は38名。今年度も、新型コロナ感染症予防のため来賓の方々にはご臨席いただかない形での式となりました。ただ、昨年度と違うのは、昨年度は在校生は2年生のみが代表で式に臨みましたが、今年度は、1・2年生ともに3年生の出発の姿を同じ会場内で見ることができるようにしました。

 会場はご覧の通り、ソーシャルディスタンスを確保し、入り口での手指消毒と検温にマスク着用と、感染予防を徹底した形で行いました。なにより、本校の広い体育館に感謝です。

 入場時には、体育館入口で無言で準備が整ったらマスクを外し、一人一人の表情が見えるよう配慮しました。当然ですが、入場時には、言葉を発しないし、口も開けませんので感染の可能性はないと考えました。入場し自席に着席した後はすぐにマスクを着用し、開式に臨みました。

 授与の際には、階段の手前でしっかりと返事をしてからマスクを外し、檀上で証書をもらったらステージを降りる手前で、一人一人の晴れやかな顔を保護者・在校生・先生方に見てもらう形としました。返事の後は、声を発しませんので飛沫も飛びませんし、ソーシャルディスタンスも十分に確保できていますので、何より卒業証書をもらった生徒一人一人の輝く笑顔を見てほしいと考え、マスク着用をしない時間を設けました。

 マスクを外しポケットにしまう時の所作も、一人ひとりとても丁寧で立派でした。ポケットにしまった後も、男子は上着のポケットのフラップをきちんと外に出して整え、女子はスカートのポケットにマスクを入れた後に表からプリーツを整えるなど、しっかりとフォーマルな場での身だしなみを整えてから、檀上に上がり、証書を手にしていました。

 お互いの思いが込もった送辞・答辞に、聞いている生徒や保護者席、先生席から思わず涙する姿がたくさん見られれました。

これは、式歌「仰げば尊し」の場面です。本校では、「歌声の響く飯野中」を合い言葉に、毎年、特設合唱部がコンクールで上位に入賞を果たしてきました。しかし、今年度はコロナの影響で特設合唱部の活動も、また文化祭での合唱コンクールも休止せざるを得ない状況となってしまいました。今回の卒業式に向けては、3年生の伝統の歌声を在校生にも保護者にもぜひ聴かせたいということで、卒業生のなかからソリストを選び、アカペラで聴かせてから、伴奏が入り3年生全員の合唱という形をとりました。ソリストはステージ上でマスクを外し、他の生徒はマスクを着けたまま合唱しています。

 しっかりした低音を出す男声に支えられ、女声の美しい高音が体育館の厳粛な空気の中に響き渡り、そこに3年生全員での合唱に切り替わり、さらに感動が高まりました。

 新型コロナウイルス感染症の縛りの多い学校生活でしたが、生徒たちはその制約された時間の中であっても、自分たちができることに全力で取り組み、今しかない時間の中で、今しかできないことに精一杯取り組んできた1年間でした。その集大成が今日の卒業式での素晴らしい姿だったと思います。

 保護者の皆様、ご家族の皆様、そして地域の皆様すべてに見守られ、育まれた15年間。そして9年間の義務教育により、こんなに大きく成長した姿を、保護者と後輩たちに、そして私たち教師に見せてくれた3年生に改めて感謝です。

3年生38名の皆さん、卒業おめでとう! 本当に、ありがとう!

これからも笑顔と思いやり、そしてチャレンジを大切に!

そして、いつも未来志向で前向きに!  卒業生の前途に幸あれ!  

熊本から応援メッセージが届きました!

 学校だよりでもお知らせしましたが、週末に熊本市立湖東中学校から、今回の地震被害への応援メッセージをいただきました。

 メッセージには3年生の代表生徒と3学年主任の先生からの手紙が同封されており、メッセージ作成の思いが綴られてありました。

 3年生の生徒からの手紙には

・ 今回の地震被害へのお見舞

・ 学習センターでの授業のニュースを見て、なにか力になりたいと思いメッセージを作成したこと

・ 進路が決まった3年生を中心に限られた時間で取り組んだこと

・ 小さな支援も大きな支えになったという熊本地震での経験

・ 今後の復旧と平穏な生活が戻ることへの祈り

 3学年主任の先生からの手紙には

・ こちらの状況を慮り、一方的な送付への謝罪

・ 福島のことを思う心を直接、被災した中学生に伝えたいという生徒の思いと経緯

・ 熊本地震の際には、「他県の方が気にかけていてくださる」と思える安心感が心に残っていること

・ 先生自身が震災後何度か東北に訪問しており、その姿が、つらい思いをしている人のことを「気にかける」生徒を育んでいるとを感じたこと

・ 今の子どもたちは将来大人になってからも、自分にできることを模索し続けてほしいという思い

・ これから先も「気にかける」生徒を育てるための「未来への種まき」として受け取ってほしいこと

等の温かい思いが込められた文字が並んでいました。

 顔も名前も知らない熊本の中学生たちが、福島県の飯野中の現状を知り、何か自分にできることはないかと模索し、短い期間の中で福島を思う気持ちを伝えてくれたこと、本当に素晴らしい行動だと思います。また、そうした積極的な行動を言葉ではなく、震災後の東北を何度も訪れたりする自身の姿・行動で範を示してくださっている学年主任の先生の生きる姿勢もとても素敵ですね。

 先生からの手紙の中で、とても印象深い部分をそのままお知らせします。

『中学生は、いろいろな活動をしたくても、「子ども」という制約があります。だけど、彼らはいつか大人になります。そんな彼らが、今回の取り組みで「福島」を近くに感じ、自分にできることを模索し続けて行ってくれればと願っています。 今回の子どもたちの活動が、直接、皆様のお力になれないことは十分承知しています。しかし、子どもたちが純粋に福島の皆様の無事を願う気持ちが少しでもお伝えできれば、そして、この取り組みが未来への種まきとしてお受け取りいただければ幸いです。』

 今、本校の生徒たちは、一人一人の良さや特性、学校生活での頑張りや大変さ、生き辛さなどをお互いに理解し合い、認め合いながら、やさしく思いやりを持って学校での生活を送っています。また、私たち教師は、そうした生徒同士のよりよい関係性を築くことに力を入れたり、相手を思いやる心の大切さを日々教えています。思いやりにあふれる集団を創っていくためには、自分も含めた一人一人が大切な存在であり、プラスにもマイナスにも影響力を持ってること、自分の一つ一つの言動が周囲に大きな影響を与えていることを一緒に考え、判断力や実践力といった自己マネジメント能力を育てることに力を注いでいます。

 でも、時に大人は「社会はそんな甘いもんじゃないぞ。厳しいんだ。」と言います。それは、今の大人たちがそういった社会をつくってしまった結果、そうなってしまっているのではないでしょうか。今の子どもたちが大人になってからも、今学んでいる中で大切だと思うこと、今こうして実際に思いやりを持って行動していることをそのまま、全員が実践することができれば、社会はそんなに厳しいものには決してならないのではないでしょうか。お互いを尊重し合い、助け合い、思いやりながら、みんなが笑顔で生活できる未来の社会づくりへの「種まき」は、日々、家庭で、学校で、地域で行われているのだと思います。

 湖東中学校の先生のいう「未来への種まき」。大人一人一人が、自分の行動はすべて、子どもの心への「未来の種まき」であることを肝に銘じることが、子どもたちがこれから生きていく未来の社会をよりよく創ってていくことにつながっていることを改めて確認できたように思います。

 湖東中学校の皆さん、遠い九州熊本の地にも、私たち飯野中学校のことを気にかけていただいている人がいることを伝えていただいたことに、心より感謝いたします。ありがとうございました。

 もしかすると、本校生が将来、大学等への進学先で、偶然、湖東中学校の人と一緒になるかもしれません。そんな部分での「種まき」も楽しみですね。